逗子旅 －ZUSHI TABI－

逗子駅より鎌倉駅行のバスで約十五分、海の香漂う「小坪」で下車すると正面の一段高いところに立派な地蔵堂があり、地域に愛されるお地蔵さまが安置されています。この高野山真言宗寺院の小坪地蔵堂の創建年代等は不詳ですが、足元の蓮華座まで含めると二メートルを超す大きな石のお地蔵さまは、江戸時代後期の地誌新編相模国風土記稿に「報身院持（現小坪寺）」と記載され、地蔵尊は、鷺の浦(小坪湾)の海から漁師の網にかかって引き上げられたと伝えられています。子育て地蔵と称され、地元で信仰されている地蔵尊です。右手に錫杖(しゃくじょう)、左手に宝珠を持つお姿はお地蔵さまの通例のお姿ですが、左手には信仰の歴史を物語る地蔵講の大きな数珠も掛けています。優しい微笑みを浮かべ、子どもたちの健康と安全を何百年も見守っています。毎月２３日には、この地蔵を供養し、８月２３日のお盆の地蔵施餓鬼には小坪寺の住職が施餓鬼供養を行い、盛大に祭りが行われます。